5Gの危険性はデマや嘘?発がん性は本当にある?鳥の大量死は5Gとは無関係?
5Gの実用化が近づくにつれ、「5Gは危険」「5Gには発がん性がある」「5Gの影響で鳥が大量死した」などの声が挙がっています。これらの内容は真実なのか、それとも単なるデマや嘘なのか、不安に感じている方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、5Gの危険性についてわかりやすく解説していきます。
■5Gとは?
まず、5Gについて簡単に説明します。5Gとは、主に「高速・大容量」「低遅延」「大接続」の3つの特徴を持つ第5世代移動通信システムのことです。
4Gに比べ、格段にネットワーク速度が速くなる5Gに対し、「基地局の電波の強度が高くなる=放射能も高くなる=健康被害が発生する」と考える人もいるようです。しかし、実際には2G基地局から5G基地局に至る間に、放射能自体は減少しているとのデータがあります。
速度が向上した大きな理由は、帯域幅の拡大や受信感度の向上であるとの考え方が一般的です。
■5Gの危険性はデマや嘘?
前述したように、5Gの基地局が発する放射能は、2G基地局よりも減少しています。
一時期広まった5Gの危険性を訴えるムクドリの死も、実際には反5Gを訴える人物が流したフェイクニュースに過ぎませんでした。
・鳥の大量死と5Gの関係
2018年、オランダのハーグで5Gのテストが行われ、電波の影響でムクドリが大量死したとのニュースがSNS上で拡散されました。しかし、ムクドリの大量死の時期と5G通信テストの時期が大きく異なっており、後にフェイクニュースであることが判明しています。
5Gの健康への影響が未確定であるとして、導入に慎重な国も存在しています。しかし、「5G=健康被害を引き起こす悪」であると決めつけ、デマやフェイクニュースを流すことや無責任にシェアすることは、大きな問題です。
■健康被害として指摘されている「電磁波」
5Gの健康被害を心配する人の多くが挙げているのが「電磁波」の悪影響です。
しかし、電磁波に関しては総務省が以下のように断言し、健康リスクを否定しています。
「無線通信に使われている電波の健康への影響で、現在はっきりしているものは熱作用に関連するもののみです。熱作用により健康に悪影響が生じることはありません」
また、太陽光や落雷といった天然のものから、電子レンジやテレビなど人工的なものまで、日々、さまざまな電磁波にさらされている中、5Gの電磁波だけが特別に影響を及ぼすと考えにくいものです。
さらに2018年には、米国食品医薬品局(FDA)が「現在、携帯電話の無線周波数は安全制限内にあり、人々の健康にそれほど大きな影響はない」との声明を出しています。
■5Gと発がん性の関係
2011年、WHOの国際がん研究機関は携帯電話に対し「発がん性が疑われる」と位置づけました。しかし、位置づけとしてはコーヒーや漬物と同様です。特別携帯電話に問題があるといった内容ではありません。
「全く関連がない」との実験結果が出ない限り、5Gと発がん性の関係を否定することは困難です。しかし、現段階では過剰に心配する必要がないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
■現時点では5Gの危険性は確認できていない
5Gと健康被害を訴える内容の中にはデマや嘘も多く、誤った内容に対して不安を感じる人も少なくありません。5Gの安全性に関しては、正しい根拠に基づくデータをもとに話し合う必要があります。
また、少なくとも現時点では5Gの危険性を明確に示すデータは存在していません。日本でも「生体電磁環境研究」「電波の安全性に関する評価技術研究」が進められています。
もちろん、5Gはメリットばかりというわけではありません。しかし、デマや嘘に惑わされるのではなく、正式発表されたデータをもとに5Gと向き合うことが大切になるでしょう。