5Gの電波は人体への悪影響があるってホント?健康被害に関する専門家の意見を解説

2020.02.04

世界的規模で進んでいる5G導入ですが「5Gの電波は人体に悪影響を及ぼす」といった説があることをご存知でしょうか。

5Gには未知なる部分も多く、不安を抱く人が存在することも事実です。

 

そこで今回は、5Gが健康不安を呼んでいる理由や、それに対する総務省や専門家の意見についてわかりやすく解説します。

現段階での情報を学び、5Gに対して正しく理解を深めるために本記事をお役立てください。

 

 

■5Gが健康不安を呼んでいる理由とは

 

まず、5Gが人体への悪影響を及ぼすとされ、健康不安問題を引き起こす理由に、「高い周波数の電波を使用すること」が挙げられます。

しかし、そもそも「5G=高周波数」の電波使用というわけではありません。

加えて、現段階では可視光などの電磁波と比べ影響を及ぼすといった研究結果も出ていません。

 

・ミリ派の影響

5Gの特徴のひとつである高速化を実現するために使用される「ミリ波」は、渋滞の周波数帯と比べると大変高く、また、長距離通信への信頼性が低いことから、アクセスポイント同士の距離を縮めることが必要です。

 

そのため「ミリ波は危険」「アクセスポイントが増えることで、より多くの電磁波にさらされる」などの意見が表れるようになったと考えられます。

 

 

■総務省は電波の人体に対する影響についてどう考えている?

 

総務省は公式サイト内において、電波に対しビリビリ、チクチクと感じる「刺激作用」や高周波を浴びると体温が上がる「熱作用」についての影響を記載しています。

ただし、携帯電話基地局や放送局などから発せられる弱い電波を浴びた際の影響に関しては、「現段階では熱作用以外の影響はない」と述べています。

 

また総務省いわく、「電波防護指針」により電波の基準を定め、安全性を確保しているため、熱作用によって健康に悪影響が生じることはなく、がんやその他の健康に対しても悪影響を及ぼす根拠はないとのことです。

 

総務省は一貫して、健康リスクに関する危険性が低いことを強調しています。

しかし、現段階では研究途中の部分も少なくありません。

例えば、従来の無線通信に加えて5Gを使用する成人に対し脳腫瘍と白血病の発症リスクを検討する研究や5G電波を浴びた際の人体の皮膚への影響などを調査する研究などもその一つです。

 

また、2011年5月には国際がん研究機関(IARC)が、携帯電話の使用と発がん性の関連性について言及しています。

研究内容をふまえ、国立がんセンターも子どもが携帯電話を利用することのリスクについて述べていることからも、安全性について明確な答えが出ていないということも事実です。

 

5G電波は、現段階では特別問題視されているわけではありません。

しかし、まだ不明な部分も多く現段階では明確な結論を出すことは難しいでしょう。

 

 

■今後ますます拡大する5G市場

 

5Gの電波が人体に及ぼす影響については不明瞭な部分も多いものの、5G市場は今後ますます拡大が予想されます。

 

ただ通信事業者の間でネットワークを共有する動きは見られるものの、エリア拡大に関しては時間がかかるため、急激に5G導入が広まるとは考えにくいでしょう。

それでも、野村総合研究所の市場規模予測では、2025年度には年間販売台数の56%、2000万台の携帯電話が5G対応、契約回線では46%が5Gになると発表されています。

 

そのほかにも2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなどのことから、5G市場は一気に拡大する可能性も高いでしょう。

 

さらにローカル5Gを導入することにより、企業や自治体の敷地内にあるファクトリーIoTの早期活用も期待できます。

 

5Gの活用は、上記に挙げたジャンルにとどまりません。ヘルスケアやインフラ管理をクラウドで提供するソフトウェアサービスなども、5G普及に伴い拡大する市場のひとつといえるでしょう。