PCの初期化方法!パソコンを初期化する手順
■はじめに
何らかの事情でパソコンを購入時の状態に戻すことを、「初期化」あるいは「再セットアップ」などと呼んでいます。
「間違ってパソコンのシステムファイルを削除して動作に不具合が生じた」「Windowsが正常に起動しなくなった」「動きが異常に遅い」といった場合は、初期化が必要です。
長い間パソコンの作業を続けていると内部でエラーが蓄積し、異常な動作が多くなることがあります。
現在のパソコンは、自動的にある程度修復する機能が搭載されていますが、根本的に正常化するためには、初期化しなければなりません。
また、売却時には、個人データを残さないように初期化しておくのが安心です。
パソコンの初期化というと、あまり詳しくない人は「失敗したらどうしよう」「パソコンが使えなくなるのでは?」と不安に感じる場合もあるかもしれません。
しかし、パソコンの初期化はごく一般的な作業であり、必要以上に恐れることは不要です。
ただし、大切なデータまですべて失ってしまわないように、バックアップを必ず取っておくことは忘れないようにしましょう。
では、パソコンを初期化するにはどのような手順で行えばいいのでしょうか。
ここでは、基本的なパソコンの初期化方法の手順と、実施する際のポイント、注意点について解説していきます。
■パソコンの初期化方法
そもそも「初期化」によって、パソコンはどのような状態となるのでしょうか。
パソコンは、初期化することで、出荷時と同じ状態となります。
昔のパソコンは、初期化した後、WindowsなどのOSからインストールしなければなりませんでした。
しかし、現代のパソコンの場合にはOSやドライバなど基本的動作が復元されるようになっています。
初めから入っていたアプリケーションは、付属のDVDなどで復元されます。
ただ、自分で入れたアプリケーションや作成されたデータは削除されてしまいます。
パソコン購入直後の状態を思い出せば、どのデータを保存しなければならないのかが理解できるかもしれません。
いずれにしても、パソコンを初期化する前に、データのバックアップを取る必要がありますので、まずそれから説明しましょう。
◇データのバックアップを取る
パソコンを初期化すると、HDD内のデータはすべて消えてしまうので、必要なデータのバックアップを取っておかなくてはなりません。
そもそも、バックアップとは何でしょうか?一般的には、データを通常保存しておくところ以外の安全な場所にデータのコピーを保管することを指します。
PCを初期化する場合は、初期化されない領域や外部のストレージにデータを保存し、削除されないようにすることが大切です。
一般的なPCは、「Cドライブ」にシステムや主なデータを格納するようになっていますが、機種によってはドライブが分割されている場合もあります。
初期化するドライブを選ぶこともできるので、初期化対象外のドライブにバックアップを保存しておくのも一つの方法です。
初期化すると、自分で保存したもの以外の設定もすべて削除されてしまうため、インストールしたアプリケーションのほか、周辺機器のドライバ類もすべてなくなります。
クラウドやネット上の設定は、パソコン上のものではないため削除されません。
例えば、Googleアカウントのメールアドレスやパスワードがわかっていれば、初期化後すぐにアカウント設定を行うことで、これまでと同じようにGoogleのサービスを使うことができます。
OneDriveやDropboxのような外部ストレージサービスを利用していれば、データはクラウド上に保存されているため、すぐに利用可能です。
ただし、パソコンに保存したIDやアカウント、パスワードの記録はなくなってしまうため、初期化前に念のため確認しておきましょう。
ちなみに、ウィルスに感染した場合も、初期化することでウィルスを消すことができるため、初期化はウィルスに感染したパソコンを復旧させる手段としても応用できます。
バックアップする際は、マイドキュメントやデスクトップ、メール、お気に入りなどからも、忘れずに必要なデータを取っておきましょう。
◇初期化は3種類ある
パソコンを初期化するには、3つの方法があります。
1.パソコンのリカバリCDで初期化する
2.HDD内蔵のリカバリ領域から初期化する
3.Windows 8.1や10のOSから初期化する
初期化の手順は、取扱説明書等を見て確認しておきましょう。ここでは、1と2について説明します。
◇リカバリCDを使用して初期化する
まず、BIOS起動順位を変更して、CD/DVDドライブを優先起動にします。キーボードの[F12]キーを押しながらパソコンの電源を入れ、リカバリCDをセットして手順に従って作業を開始。
次に、CDのアイコンにカーソルを合わせて、[Enter]キーを押下すると、「初期インストールソフトウェアの復元」画面が表示されるので、手順どおりに作業を進めます。
リカバリ作業後は、インターネット接続設定や各種アプリケーションのアップデート、オフィスやアンチウィルスソフトのインストールなどを行います。
◇HDDリカバリ領域からの初期化
HDDリカバリ領域から初期化するには、パソコン起動後に特定のキーを押して開始します。
(メーカーごとに押すキーが異なります)手順に従ってリカバリ作業を実行し、Windows再インストール、ドライバのインストールやインターネット接続設定を行って、Windowsのライセンス認証を実施します。
次に、各種アプリケーションのアップデート、オフィスやアンチウィルスソフトのインストールなどを行います。
ちなみに、初期化するとWindowsやインターネット・エクスプローラーが古いバージョンに戻ることがあるため、これらをアップデートしなければなりません。
また、パソコンにインストールされているソフトも古いバージョンに戻ってしまうので、やはりアップデートが必要となります。
最後に、メールの設定も忘れずに行いましょう。
バックアップデータから、メールアカウント・アドレス帳・送受信データをインポートして実施します。
これ以外のバックアップデータは、直接パソコンにコピーすればすべて完了です。
◇Macの初期化方法
Macの初期化は、OS Xと古いMac OSで手順が異なります。
・OS X Mountain Lionの場合
1.Macを起動しグレーの画面が表示されたら、「Commandキー+ R キー」を押す。インターネットに接続されていない場合は、画面の右上隅にある「Wi-Fi」メニューからネットワークを選択する
2.「OS X を再インストール」を選択してから「続ける」をクリックする
3.画面に表示される指示に従って進み、ディスクを選択するパネルで「OS X」ディスクを選択する
4.「インストール」をクリックする
・古いMac OSの場合
1.「Mac OS X」のCDをセットしてパソコンを再起動し、すぐに「C」キーを押したままにしてCDから起動させる
2.インストーラ画面が表示されたら「続ける」をクリックし、画面に表示される指示に従って進む
3.「インストール」をクリックする
■PC初期化のメリット・デメリット
パソコンの初期化には、メリットとデメリットがあります。
・メリット
1.パソコンの動作が速くなる
パソコンは、作業しているうちに、どうしても処理に関連するデータが内部に蓄積して動作が重くなっていきがちです。初期化によって、そうした不要なデータが削除され、容量にも空きが出ることで動作が速くなります。
2.動作が不安定だったパソコンが安定する可能性がある
気づかないうちに、PCのシステムにエラーが発生しており、再起動でも回復されない場合も少なくありません。初期化すれば異常が排除され、動作が安定する可能性があります。
3.ウィルスに感染した場合はウィルスが削除され正常に戻る
パソコンの動作異常がウィルスによるものである場合には、初期化によって一掃されるのですべての動作を正常に戻すことができます。
4.個人データを消去できる
パソコンの廃棄や他人に譲る際に、個人データを消去することができて安心です。
・デメリット
1.すべてのデータが消える
初期化によって保存したデータが消えてしまいます。出荷時の状態に戻るため、各種ドライバや場合によってはOSの入れ直しが必要です。
2.パソコン購入後に追加したソフトを再インストールしなければならず、インターネットの設定もやり直す必要がある。インターネットの設定もすべて消えるため、プロバイダ情報やWi-Fiの設定を入れ直さなければなりません。サイトなどのパスワードも再設定が必要です。
3.セキュリティソフトが最新ではなくなるので、アップデートするまでウィルス感染のリスクが高くなる
セキュリティが解除されるため、ウィルス対策ソフトなどのインストールおよび最新の状態への更新が必要です。あわせて、Windowsアップデートも行う必要があります。
パソコンの初期化には、メリットも多いのですが、初期化後に行う作業が多いのがデメリットといえそうです。
■PC初期化の注意点
パソコンの初期化後は、最も脆弱な状態であることに注意しなければなりません。
「出荷後の状態となる」ということは、製品が販売後に提供されたバッチファイルなどもすべて失われてしまうということです。
初期化後は、まずOSのアップデートとセキュリティソフトのインストールを最優先することを忘れないようにしておきましょう。
自作パソコンや、カスタマイズパソコンの場合には、最悪OSから入れ直さなければならない場合もあるため、オールインワンパソコンと比べて時間も手間もかかりがちです。
OSやアプリケーションソフトを自分でバージョンアップしている場合には、バージョンが元に戻っています。
そのため、初期化前に「アプリケーションソフトが再度バージョンアップできるか」についても確認しておくと良いでしょう。
なお、パソコンを廃棄する場合、初期化しても個人情報を復元されてしまう可能性があります。
そのため、心配な場合は信頼のおける業者に、完全な消去を依頼することがおすすめです。
■まとめ
初期化してしまうと、それまでの設定がすべて失われます。
データのバックアップや初期化後の入れ直しなど、時間も労力もかかることを忘れないようにしてください。
初期化の必要性の有無を十分に検討し、不具合の原因究明がどうしても難しい場合に実施することがおすすめです。
初期化に際しては、データのバックアップやパスワード類の確認など、事前準備を念入りに行いましょう。
「何をどのようにして復元すれば良いのか」について、事前にチェックリストを作成しておくと復元がスムーズになります。
パソコンを廃棄したり売ったりする場合には、1度初期化するだけでは万全とはいえないため、不安な場合はプロに任せるのが最も安心です。