古いPCが生まれ変わる!無料で使えるOS「ChromeOS Flex」を解説します
Windowsのサポート期間が切れる度に、パソコンの買い直しに悩む人も多いのではないでしょうか。
Googleより2022年7月14日に正式リリースされたChromeOS Flexなら、古いパソコンをChromebookへ無料で変更することができます。このOSの登場により、今後はOSのサポート終了によってパソコンを買い替えるといった大きな出費も減るかもしれません。
今回は、古いパソコンがChromebookへ生まれ変わるChromeOS Flexの特徴と、インストールできるパソコンの最低スペックについて分かりやすく解説します。
■ChromeOS Flexとは
ChromeOS Flexの概要、そしてChrome OS(Chromebook)との違いについて解説します。
ChromeOS FlexとはGoogleが無償提供するOS
ChromeOS Flexとは、Googleが提供する無料のOSです。
その特徴は、OSをクラウドベースに設計した点にあります。
メインデータがクラウドにあるため、パソコン内にデータを保存する必要はなく、最小限のスペックでもサクサクと動作します。動作が速く、管理も簡単、かつ安全なPC を実現しました。
Chrome OS FlexとChrome OS の違い
Chrome OS FlexとChrome OS の違いについては、Google公式サイトでおおよそ次のとおりに説明しています。
【セキュリティ】
基本的にはテクノロジーや管理ツールは一緒。ただし、Chromebookではセキュリティの高いCPU(Googleセキュリティチップ)が改ざんや破損などをセルフチェックしているが、Chrome OS Flexではこの機能(確認付きブート)は利用できない。
【仮想環境とアプリ】
Linuxは仮想OSとして起動できるが、WindowsOS(仮想OS)をChrome OS Flex上で動かすことはできません。また、AndroidアプリやGoogleプレイも使えません。
【ハードウェア】
できれば認定モデルでのインストールを推奨。ただし、性能が100%発揮されるというわけではありません。CD/DVDドライブや指紋リーダーなどの機能には使えないものもあります。また、キーボードの配列もChrome OSの配列になるので、使えないキーが出ることもあるでしょう。
【管理】
ゼロタッチ登録や自動再登録などのChromebookの管理機能は使えません。デジタル証明書(SCEP)には対応しています。
一部を抜粋しただけであるため、詳細についてはGoogle公式サイト よりご確認ください。
■ChromeOS Flexの3つのメリット
ChromeOSのメリットは、「古いPCで使える」「ウイルス対策ソフトを必要としない」「無料で使える」の3点があげられます。
1. 古いPCで最新のOSをインストールできる
ChromeOS Flexでは、昔使っていた古いパソコンであってもサクサク動作することができます。クラウドファーストの設計がその理由です。環境設定や利用データをクラウド上に保存できるため、パソコン内部で複雑なデータの入れ替え作業を必要としません。
2. ウイルス対策ソフトウェアが必要ない
ChromeOS Flexは読取専用のOS として設計しているため、メインのファイルはセキュリティの高いクラウド上に存在します。悪意のあるソフトウェアはセキュリティ強度の高いGoogleサーバーへ侵入しなければその効果は発揮できません。
また、Web閲覧やアプリケーションの実行は論理的に隔離されたサンドボックスと呼ばれる個別の空間で実行されます。そのため、サンドボックス内で不具合が起きたとしてもシステムへ影響を与えることはありません。
このように何層にも敷かれたセキュリティ対策によってChromeOS Flexはシステムを保護します。
3. 無料で最新のOSをインストールできる
パソコンの型落ちによって、最新のWindowsやMacOSをインストールできなくなったとしても、新しいパソコンを買い替える必要はありません。今あるパソコンへ、ChromeOSを無料でインストールできるからです。
これによって、Googleでは、電気電子機器廃棄物(e-waste)の削減につながることを、期待しています。
世界では貧困を理由にIT教育の機会を奪われる若者も多くいます。
このような問題を解決するためにGoogleではOSの無償提供に踏み切りました。
また、同じく無償提供しているGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートとの相性も最良であるため、ビジネスでの利用にも適しているでしょう。
■ChromeOS Flexを使えるパソコンの推奨スペックは?
基本的にはどのパソコンでもChromeOS Flexはインストールできますが、最小スペックに満たないパソコンでは、正常に動作することが難しくなります。
OSインストールに用意するもの
ChromeOS Flexは、USBメモリを使ったUSBインストーラよりインストールします。
そのため、USBやUSBインストーラを作成するパソコンが必要です。
用意するもの
・OSをインストールするパソコン※認定モデルを推奨
・USBメモリ(8 GB 以上)※SanDisk 不可
・USB インストーラを作成するパソコン
ChromeOS Flexは、ほとんどのパソコンにインストールできますが、正しく機能するにはChromeOS Flex認定モデルがGoogleより推奨されています。また、既知のエラーとしてSanDiskのUSBメモリは利用できない旨が公表されています。
ChromeOS Flexをインストールするには、事前にバックアップを取得しておかなければなりません。OSをインストールするとすべてのデータが削除されてしまうからです。
バックアップ用のストレージ、またはGoogleドライブに、バックアップを取っておくことをおすすめします。
パソコンの最小スペック
あまりにも古いパソコンやメモリが4GBに満たないパソコンでは ChromeOS Flexを利用できません。
最小スペック
・2010年以降に製造されたパーツで構成したパソコン
・Intel または AMD x86 の 64 ビット互換CPU
・4GB以上のRAM
・16GB以上のストレージ容量
・USBドライバから起動できる
・すべての管理者権限で起動するBIOS
Googleの認定モデル はChromeOS Flexサポートページよりご確認ください。
■ChromeOS Flexならサスティナブルに最新OSを楽しめる
WindowsやMacのサポート切れで、数年に一度はパソコンを買い換えなければならないと悩んでいた人でも、ChromeOS Flexを導入することでパソコンを廃棄する必要はなくなります。古いパソコンのままでも最新のChromeOSを搭載できるからです。
自然環境にも優しくサスティナブルにITを楽しむのにも、ChromeOS Flexは良いのではないでしょうか。