テレワークで仕事の効率が落ちる?その理由や対策方法を解説

2020.08.22

新型コロナウイルス対策として、テレワークを導入する企業が増加しました。

 

テレワークには、生産性の向上や業務の効率化などのメリットが期待されますが、全ての企業がそのメリットを享受できているというわけではないようです。

企業によっては、緊急事態宣言の解除後に、すぐにテレワークを撤廃している例もあります。

 

では、テレワークとは効率が悪化してしまう働き方なのでしょうか?

この記事では、テレワークが増えた時代背景を踏まえ、テレワークで仕事の効率が落ちてしまう理由・対策について解説します。

 

テレワークが増えた時代背景

新型コロナウイルス対策の働き方として、急速にテレワークの認知度が高まりました。

まず、この章ではテレワークの導入が増えた時代背景について解説します。

 

・新型コロナウイルス前のテレワーク導入の背景

テレワークは、もともと働き方改革を実現する手法の一つとして、近年注目が高まっていました。

2017年に総務省が発表した「ICT 利活用と社会的課題解決に関する調査研究」によると、テレワークを導入する目的は、以下の順位となっています。

 

1位:人材の採用・確保、流出の防止(29.7%)

2位:社内事務の迅速化(29.2%)

3位:社員のワークライフバランスの実現(27.2%)

 

会社へ出勤しなくてもリモートで仕事が進められるWeb会議やビジネスチャットなどのITツールやその土台となる高速インターネット通信の仕組みが整ったことにより、テレワークの導入が広がっていきました。

 

・新型コロナウイルスによりテレワークが一気に拡大

テレワークの導入は、新型コロナウイルスをきっかけに一気に拡大しました。

政府や自治体による外出自粛要請などにより、ビジネスにおいても不要不急の外出を控えることが推奨されるようになったためです。

 

東京商工リサーチが2020年7月に14,356社を対象に行なったアンケート調査によると、「新型コロナウイルス以降テレワークを1度も実施していない」と答えた企業は42.20%となっており、過半数の企業がテレワークを導入済であることが確認できます。

 

・テレワークを断念する企業も

非常に興味深いデータとして、同アンケート調査にて26.78%の企業が「新型コロナウイルスによりテレワークを導入したが、その後断念した」と回答している点です。

 

新型コロナウイルス禍が落ち着いているとはいえない現状で、なぜそのような結果になっているのでしょうか?

 

その理由の一つが、テレワークの導入により仕事の効率が落ちてしまうケースがあることです。

 

テレワークで仕事の効率が落ちる理由

テレワークを導入した結果、仕事の効率が落ちてしまう理由としては、以下の4点が考えられます。

 

・コミュニケーション不足が生じる

テレワークを実践した場合、上司と部下や同僚が対面して会話をする機会が減少してしまいます。

その結果、何も対策をしなければおのずとコミュニケーションの機会が少なくなってしまいます。

 

・報告・連絡・相談がしづらい

対面の場が少なくなってしまうと、業務上の意思疎通にも問題が生じてしまうケースがあります。

いわゆる「報告・連絡・相談」が漏れてしまったり、タイミングが遅くなったりしてしまい、結果的に業務の正確性や質が低下してしまいます。

 

・仕事の進捗状況を把握できない

コミュニケーション不足や報告・連絡・相談の漏れや遅れなどが生じてくると、上司は部下一人ひとりの仕事の進捗状況が把握しづらくなってしまいます。

結果的に、営業案件がブラックボックス化してしまったり、業務の属人化が進んでしまったりします。

 

・それぞれが好きな時間に仕事をしてしまう

テレワークスタッフは、上司や同僚の目が届かなくなってしまうことで、好きな時間に仕事をするようになりがちです。

その結果、休憩時間を長くとるようになってしまったり、反対にダラダラと本来の就業時間を過ぎても仕事をしてしまったりするようになってしまう傾向があります。

 

テレワークの状況下では、上記のような労務管理の課題が発生します。

 

テレワークでも仕事を効率化させるための対策

テレワークで仕事の効率が落ちてしまう企業が少なくない状況ではあるものの、工夫さえすれば効率を落とさずに仕事を進めることは可能です。

 

・プロジェクト管理システムなどのツールを導入する

テレワークのデメリットである仕事の進捗管理を行なうためには、プロジェクト管理システムなどのITツールを導入すると良いでしょう。

クラウド型のシステムを導入すれば、社員がプライベートのスマホから仕事の進捗状況を入力することができます。

 

仕事の進捗状況の把握は、社員の仕事の適正な評価のためにも重要です。

 

・ビデオ会議を導入してコミュニケーション不足を解消

コミュニケーション不足を解消するためには、ビデオ会議を導入することです。

このときに意識したいのは、効率とコミュニケーションのバランスをとることです。

 

テレワークを導入する以上は無駄を省いて業務を効率化したいところですが、対面での接触が少なくなりコミュニケーション不足に陥っている状況下では意識的に雑談の時間を設けるなどの工夫も必要です。

 

また、リモートでも報告や相談がしやすい環境づくりを意識することも大切です。

 

・労働時間で対価を決めるのではなく成果を基準に変える

テレワークの状況下では、上司は部下の仕事ぶりを直接見ることができなくなります。

従って、長時間意欲的に仕事をしているように見えても、労働時間だけで評価すると正当な評価には結びつかない可能性が高くなってしまいます。

そして、正当な評価が行なわれないことは、スタッフのモチベーション低下にもつながります。

 

対策として効果的なことは、成果を基準に評価をするように改めることです。

また、成果が数字として表れにくい業務に関しては、プロジェクト管理システムやビデオ会議を密に行ない、プロセス評価の割合を高めることが大切です。

そして、これらの評価制度を改めるにあたり、事前に評価基準を周知しておくことも大切です。

 

上記のように、コミュニケーションと労務管理の課題を解決することで、テレワーク本来の生産性の向上やワークライフバランスの改善につながります。

ITツールの活用など併用しながら、ぜひ導入を進めてくださいね。