5Gの基礎用語「ミリ波」とは?特徴や必要性、基地局の構造をわかりやすく解説!

2020.02.04

5Gを語る上で必ず必要となる言葉のひとつに「ミリ波」というものがあります。

聞きなれない言葉のため、特徴や必要性などがイメージしにくいと感じる方も多いことでしょう。

 

今回は、そのような「ミリ波」の特徴や必要性などについて、専門用語を極力使わずにご説明していきます。

 

 

■ミリ波とは

まずミリ波とは、1mm〜10mmの電波の波長を表す言葉であり、周波数は、30~300GHzです。

 

なぜ5Gの基礎用語に、このミリ波が関係するのかという説明の前に、5Gで使われる周波数について、再度確認しておきましょう。

 

5Gの周波数は、大きく「FR1:450~6000Mhz」と「FR2:24.25GHz~52.6GHz」の2つに分けることができます。

一般的には、このFR2の「周波数」=「ミリ波」と捉える傾向があります。

また、日本の5Gで使用される周波数は26.50~29.50GHzのため、厳密にはミリ波の定義である30GHz以下ですが、実際には「ミリ波」帯として呼ぶことが多いです。

 

 

■ミリ波の特徴

 

5Gにおいて必須とされるミリ波には、どのような特徴があるのでしょうか。

順を追って説明していきます。

 

・直進性の強さ

今までの3Gや4Gで使用されていた周波数と、ミリ波の周波数の違いを一言で言えば、「ミリ波は、より光に近づいている」ということでしょう。

ミリ波に限ったことではありませんが、波長が短くなると、その性質は光に近づいていきます。

 

例えば、光は、建物を避けて回りこむようなことはありません。

ミリ波にも、同じことがいえます。

つまり、障害物の多い建物の内部などをミリ波の電波を届ける際には、工夫が必要になるでしょう。

 

・伝送情報容量の多さ

周波数が高くなればなるほど、伝送情報量は多くなります。

今までの移動通信には使用されていない周波数帯のため、駅やイベント会場など一部のネットワークを強化するといった使い方にも長けています。

 

・長距離の伝送に適さない

ミリ波は、距離が遠くなればなるほど空気中に含まれる水分によって少しずつ減少します。

そのため、雨や壁など、遮るものが発生すると通信パフォーマンスは低下します。

 

一見、屋外での移動体験は不可能に思える技術ですが、ミリ波には「従来に比べアンテナ設置が容易である」などのメリットもあります。

こうしたことから現在、屋外でも問題なく活用できるよう、ミリ波の特徴を十分に踏まえた研究が進められています。

 

 

■5G対応には、スモールセル基地局が活躍

 

上記でお伝えしたミリ波の特徴を踏まえると、5G導入後は、ひとつの基地局がカバーできる通信エリア自体が狭くなります。

そのため、スモールセル基地局を増やす必要があります。

例えば人が大勢集まる場所(ショッピングモールや駅、イベント会場など)では、ミリ波が建物などにより遮断される可能性の高いため、より多数のスモールセル基地局の設置が必要となるでしょう。

 

 

スモールセル基地局に置かれるのが「マルチアンテナ」です。

電波をビーム状にして、多方面に飛ばすことをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。

その結果、スポーツ競技場では、マルチアングルで選手の動きを追ったり、複数のスポーツを同時にライブ中継したりといった観戦方法も可能になります。

 

 

■5Gミリ波が人体に与える影響とは

 

電磁波が人体に与える影響については、度々話題に上がります。

ミリ波についても、例外ではありません。

 

しかし、ミリ波は、X線やガンマ線などの電離放射線と比べると、はるかに低い周波数です。

また、2005年、米電気電子学会(IEEE)の国際電磁安全性委員会は、電磁波が人体に与える影響として、熱に関連するもの以外は健康への悪影響が見出せないと発表しました。

 

5Gやミリ波に関しましては、現在も研究が進められている段階のため、確実な結論は出ていません。

しかし同様に、現段階で明らかに悪影響を及ぼすといった結論が出ていないことも事実です。